公示価格の活用方法

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公示価格

 公示地価は、地価公示法に基づき、国土交通省による土地鑑定委員会が毎年1回公示する標準地の価格で、調査は昭和46年(一部地域を除く)から毎年実施されています。
 公示対象は原則として都市計画法による都市計画区域内ですが、都市計画区域以外でも土地取引が相当程度見込まれるものとして省令で定められた区域が対象に加わります。

[目次]
1.公示価格の発表時期
2.公示価格の特徴
3.公示価格の活用方法

 

1.公示価格の発表

公示される価格はその年の1月1日時点で、3月中旬頃に発表されます。土地価格動向の指標として、市場の需給動向を反映した中立公正な価格です。

2.公示価格の特徴

2−1.地価公示価格は、相続税路線価、固定資産税評価の基礎

相続税路線価や固定資産税評価額は地価公示価格を基準とするため、地価公示価格が変動することで、これら課税評価額も変動する関係にあります。

2−2.中立公平な価格

 公示地価は公共事業用地の取得価格算定の基準とされるほか、「一般の土地取引価格に対する指標となること」「適正な地価の形成に寄与すること」が目的とされています。
 そのため、それぞれの土地がもつ本来の価値(売り手にも買い手にも偏らない客観的な価値)を評価することになっており、現存する建物などの形態に関わらず、対象土地の効用が最高度に発揮できる使用方法を想定したうえでの評価が行なわれます。自由な取引において通常成立すると考えられる1平方メートル当たりの価格を示しています。

2−3.更地評価

建物の古さの違いや建築費用の違いといったいろいろな特徴が反映された価格は、それぞれの比較がとても複雑で難しくなります。
したがって、土地の本来の価値を示すため、建物が建っている現在の土地ではなく、更地としての評価をします。

2−4.算出方法

 それぞれの地点につき、2人以上の不動産鑑定士が別々に鑑定評価を行ない、その結果を調整したうえで価格が決定されるため、標準地の単位面積あたりの“正常な価格”(更地価格)です。公示される際には、「住宅地」「商業地」「宅地見込地」「準工業地」「工業地」「調整区域内宅地」に分類されます。
 1地点について不動産の鑑定評価の専門家である2人の不動産鑑定士が各々別々に現地を調査し、最新の取引事例やその土地からの収益の見通しなどを分析して評価を行います。さらに、地点間や地域間のバランスなどを検討し、国土交通省の土地鑑定委員会が公示価格を決定しています。

3.公示価格の活用方法

3−1.公示価格の閲覧場所

国土交通省のサイト「土地総合情報システム」や市区町村の役場等や図書館でも閲覧することができます。

3−2.公示価格を活用して、売買したい土地の価格を知る

 公示価格の対象となる土地は、その地域の標準的な土地が対象になっています。
 例えば、商業向きの土地、住宅向けの土地、駅に近い土地、閑静な住宅街など、さまざまな用途の土地に公示価格の地点があります。公示価格の内容は、その土地の場所や住所、土地の形状やその土地に係る法令の制限、前面道路の広さや状況、鉄道やバスなどの主要な交通施設までの距離、周辺の状況、水道やガス、下水道などの整備の状況などが示され、そうした条件の土地の価格はいくらかが公示されます。

 まず、これから売買したい土地と、公示価格に示されている条件とを比較してみましょう。
 例えば、駅からの距離は公示価格よりも近いけれど、前面道路は公示価格よりも狭いなど、公示価格と比較して、おおよその価格を判断することができます。
 ただし、土地の売買には様々な事情があり、諸事情によって公示価格よりも安い価格や高い価格で取引される場合もあります。

3−3.公示価格の傾向における売主のメリット・デメリット

(地価が上昇傾向にあるとき)
 住宅価格も上昇していくため、買主は条件のよい物件があると高くならないうちに購入しようとします。そのため、売主にとって売りやすい時期といえます。また、地価が上昇する地域は利便性のある人気の地域が多いので買い手がつきやすく、売主にとっては好条件となります。

(地価が下落傾向にあるとき)
 住宅価格も下降気味になります。利便性のよい地域なら買い手がつきやすいですが、地方の不便な地域の場合は、売れ残る可能性があります。そのため、売りにくい時期といえます。

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